お茶の百科事典
歴史
日本茶はいかにして今の姿になったか——カップに注がれるお茶の背景にある人物、場所、転換点を辿ります。
22 件
千利休が茶室に設けた入り口は、大人ひとりがかがんでしか通れないほど小さく作られていました。刀を差したまま入ることはできません。身分の高い武士も、膝をついて頭を下げなければなりません。その小さな開口部に、利休が生涯をかけて問い続けた「茶...
一休宗純(いっきゅうそうじゅん)から禅の教えを受けたとき、村田珠光(1422〜1502年)は、茶の湯のあり方そのものを問い直すことになったのかもしれません。人に見せるための豪華さではなく、一碗の茶と向き合うときの心の置き方へ。その向き...
モンバサの競売場は朝7時に開きます。午前のうちに、等級、ロット、産地が次々に読み上げられ、膨大な量の茶葉が競り落とされていく。その光景は古くから続く取引の作法を残しながら、いまも東アフリカの茶業を動かしています。 ケニアが世界最大の茶...
栄西から茶の種を受け取ったとき、明恵上人(1173〜1232年)は京都・高山寺の境内を思い浮かべたかもしれません。緩やかな斜面、清らかな水、木漏れ日——禅の修行の場として選んだこの地が、日本の茶栽培の原点になるとは、当初から意図してい...
京都の町角に、茶を売り歩く老僧がいました。担いでいるのは二つの籠——一方に茶道具、もう一方に炭と水。名所旧跡に腰を落ち着けては一杯の茶を淹れ、貴賤を問わず誰にでも振る舞う。この人物が「売茶翁(ばいさおう)」と呼ばれた高遊外(こうゆうが...
アッサムの紅茶を一口飲んだとき、あのずっしりとした重みと濃い水色を生んだのはどんな歴史なのだろう、と思うことがあります。世界有数のお茶の生産地であるインドですが、その歩みは、土地に自生していた茶樹、現地の知識、そしてイギリスの植民地政...
阿里山の稜線で朝の霧がまだ残る頃、摘み手は観光客が動き出す前に畑へ入ります。標高一四〇〇メートル前後の空気は夏でもひんやりとして、葉は平地よりゆっくり育ちます。湯を注いだ瞬間に立つ花香と、そのあとから静かに広がる甘味。台湾茶の魅力は、...
銀のスプーンが磁器に触れる音、港で積み替えられる木箱、夏の氷に注がれる琥珀色の茶。私たちが欧米のお茶の歴史を振り返ると、一杯の裏側には王侯の趣味、植民地支配、市民の抵抗、そして日々のくつろぎが、静かに折り重なっているのが見えてきます。...
霧の濃い朝、中国南西部の山の斜面を思い浮かべると、お茶は最初から商品でも嗜好品でもなく、湿った空気の中で育つ一枚の葉だったのだと感じます。雲南や四川の山地では、茶樹はいまも森の一部として根を張り、そこから長い歴史が始まりました。 中国...
スリランカは、世界に知られる紅茶「セイロンティー」の故郷です。ただ、この島が最初から茶の産地だったわけではありません。 私たちがセイロンティーに惹かれるのは、明るい香味だけでなく、その背後に島の転換の歴史があるからです。茶の起点はさら...
江戸時代(1603年~1868年)は、日本茶が一部の僧侶や武士の文化に留まらず、町人の日常に深く根づいた時代です。前の時代を扱った室町・安土桃山時代の日本茶の歴史でお茶の湯の様式が整えられたとすれば、江戸では急須で淹れるお茶、店で選ん...
読むから飲むへ
調べたお茶を、実際に味わう。
日本の7つの窯元による手仕事の茶器と、その作り手の物語。











