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お茶の百科事典

三重県のお茶|全国3位・かぶせ茶日本一の伊勢茶ガイド

日本の産地産地
Green tea fields in Mie Prefecture, the third largest tea-producing region in Japan

三重県は、意外にも国内第3位の茶生産量を誇る都道府県です。

第1位の静岡県、第2位の鹿児島県に比べると差はあるものの、2023年の生産量は約5,200トン(農林水産省「特産果樹生産動態等調査」)と、全国の約7%が作られるお茶どころ。日本全体の産地構成のなかでも欠かせない一県です。

三重県内で生産されたお茶は、総じて「伊勢茶」と呼ばれ、三重ブランド認定品のひとつになっています。”やぶきた”を筆頭に”さやまかおり”、”おくみどり”、”さえみどり”などの品種が主に栽培されています。

三重県のお茶の特徴

三重県は、かぶせ茶(被覆栽培茶)の生産量が全国1位、加工用原料茶の出荷量も全国1位という、二つの「日本一」を持つお茶どころです。県内ほぼ全域で古くから茶が栽培され、煎茶や深蒸し煎茶からかぶせ茶、碾茶(抹茶原料)まで幅広く手がけています。

地域によって差異はありますが、毎年日本全国数十件の生産者とお会いする私たちが感じる三重のお茶ならではの魅力を紐解いていきます。

日本一のかぶせ茶の産地

かぶせ茶とは、摘採の1週間ほど前から被覆栽培を行って作るお茶のことで、三重県はこのかぶせ茶の生産量日本一を誇ります。

被覆栽培を行うことで、茶葉の旨味が濃くなり、渋味が抑えられ、「覆い香」と呼ばれる海苔のような香りが加わります。この「覆い香」は高級茶の証。手間と時間をかけて丁寧に作られるかぶせ茶は、玉露に次ぐ高級茶としても知られています。

原料茶の生産量日本一

海外でも人気が高まりつつあるお茶フレーバーのドリンクやお菓子。アイスクリームや和菓子に使われる加工用原料茶の生産量も、三重県が全国1位を誇ります。

今後も原料茶の需要は高まっていくと考えられていますが、海外から廉価な原料茶が輸入されていたり、年々お茶の市場価格が下がっていることもあり、三重県としても新たなお茶の価値や商品開発に力を入れています。

日の目を見ない影のお茶

三重県のお茶は、非常においしいのにも関わらず、ブランド茶としての名声は決して高くありません。

その理由は、京都や静岡など、他県の茶商に買われ、ブレンド茶として利用されることが多かったため。(三重県で生産され、静岡県で最終の仕上げがされたお茶は「静岡茶」として販売されるため。)

また、原料茶としての出荷が多く、「三重のお茶」として消費者の目に触れる機会が少ないのも理由の一つです。

近年では、「伊勢茶」としてのブランドを確立することが大きな課題となっています。

三重県のお茶づくりの歴史

三重県でのお茶の歴史は非常に古く、最も古い記録では、平安時代中期(900年代初頭)、今の四日市市水沢町一乗寺でお茶が栽培されていたという記録が残っています。

鎌倉時代に茶の栽培を国内に普及した明恵上人が、茶の種を植えたのが伊勢川上であることからも、伊勢茶の歴史が深いことがわかります。

江戸時代の終わりごろには、水沢町にある常願寺の住職・中川教宏が宇治からお茶の種を持ち帰って、お茶の栽培を広めて、産業としての発展に寄与しました。

このように長い歴史と全国3位の生産量を誇る三重県ですが、残念ながらそのことはあまり知られておらず、「伊勢茶」としてのブランドもまだ確立されていないという課題を抱えています。

三重県のお茶の産地とブランド茶

三重県の茶産地は大きく北勢地域(鈴鹿市、四日市市、亀山市など)と中南勢地域(松阪市、大台町、度会町など)に分かれ、県内で生産されたお茶はまとめて「伊勢茶」と呼ばれます。南北に長い県土はほとんどの地域で温暖な気候を持ち、年平均気温14〜15度、豊富な雨量、水はけの良い土壌が茶づくりを支えています。

年間平均気温は14〜15度。雨が多く、水はけの良い土質は、お茶の栽培に適した地域だと言えます。

三重県内で生産されるお茶は全て「伊勢茶」というブランド茶に含まれますが、その中で、大きく分けて北勢地域と中南勢地域という生産地があります。

北勢地域

鈴鹿市、四日市市、亀山市を中心とした北勢地域では、三重県全体のおよそ7割のお茶が作られており、煎茶・かぶせ茶・碾茶(抹茶の原料茶)の生産が盛んです。

鈴鹿山脈の麓、豊かな水源と緩やかで水はけの良い傾斜地に恵まれたこの地域はお茶づくりに適しており、良質なお茶が育まれています。

中南勢地域

松阪市、大台町、度会町を含む中南勢地域では、谷あいの傾斜地や、川沿いの平地を利用して良質な煎茶、深蒸し煎茶が多く生産されています。昼夜の寒暖差が穏やかなまろやかさを引き出し、渋味が控えめで飲みやすい仕上がりになるのが特徴です。

三重県のお茶は、知名度こそ静岡や宇治に譲りますが、味わいの厚みと産地としての底力では決して負けません。他の産地の特色と読み比べてみると、伊勢茶の個性がさらに際立ってくるはずです。

よくある質問

伊勢茶とはどんなお茶ですか?

「伊勢茶」は三重県内で生産・加工されたお茶の総称で、三重ブランド認定を受けた地域ブランドです。煎茶・深蒸し煎茶・かぶせ茶・碾茶(抹茶の原料)まで幅広く扱い、なかでもかぶせ茶の生産量は全国1位。アイスクリームや和菓子に使われる加工原料茶の出荷量も三重県が全国一で、毎日の暮らしに溶け込むお茶の縁の下の力持ちです。

三重県がかぶせ茶の主要産地なのはなぜですか?

三重県はかぶせ茶の生産量が全国最多の産地です。北勢エリア(鈴鹿市・四日市市・亀山市)は、大規模な被覆栽培を支えるインフラ・気候・蓄積された技術を備えています。収穫の7〜10日前に遮光ネットをかけることで、テアニン量が増し、直射日光から葉を守ります。結果として旨味が高まり、色が一段と深い緑になる——これがかぶせ茶を定義する特質です。3週間以上遮光する玉露とは異なり、かぶせ茶は露地栽培の煎茶の持つ明るさや青々しさを残しながら、より豊かなコクを発展させます。

かぶせ茶と玉露はどう違いますか?

かぶせ茶は煎茶と玉露のちょうど中間に位置するお茶です。玉露は20日以上の長期被覆で濃厚な旨味を持ちますが、慣れていない方には少し重く感じることも。かぶせ茶は7〜10日間の被覆で旨味と甘みを高めながらも、玉露よりすっきりとした飲みやすさを保っています。一般的な煎茶と比べると明らかにコクが増しており、初めて被覆栽培の恩恵を実感できる一杯といえます。

三重県のお茶の産地はどこですか?

三重県の茶産地は大きく北勢(鈴鹿市、四日市市、亀山市)と中南勢(松阪市、大台町、度会町)に分かれます。北勢は鈴鹿山脈の山麓で全県の約7割を生産する中心地、中南勢は谷あいや川沿いで煎茶や深蒸し煎茶を多く手がけます。県内全域で生産されるお茶はまとめて「伊勢茶」と呼ばれ、三重ブランド認定品のひとつになっています。

三重県のお茶はなぜランキング全国3位なのですか?

三重県は静岡・鹿児島に次ぐ国内第3位の茶生産県で、2023年の生産量は約5,200トン、シェアは約7%です(農林水産省)。鈴鹿山脈の麓に広がる豊かな水源と緩やかな傾斜地、年平均14〜15度の温暖な気候、水はけの良い土壌――これらの条件がお茶づくりに適し、長年にわたって安定した生産量を支えてきました。なかでも被覆栽培による「かぶせ茶」は三重県を象徴する一杯です。

三重県のお茶は宇治・静岡と何が違いますか?

宇治茶は抹茶・玉露のような高級濃緑茶が中心で、静岡は深蒸し煎茶に代表される量産型の日常茶です。それに対して三重県は「かぶせ茶」という中間領域を強みとしています。玉露ほど濃密ではなく、一般の煎茶よりも旨味と甘みが豊かで、強い味を苦手とする方にも推薦しやすいお茶です。また加工原料茶における強みは、他の二大産地では見られない三重県ならではの特長です。